気が付けば発達障害43年目のベテランでした 1

官星レール 小説

ハルミはいつも自分が理解できずに生きてきた

人より運動が苦手で、歌が下手
文字を上手に書けなくて恥ずかしい
本を読もうとするのに次の文字が、隣の文字が、行が気になってちゃんと読めない

時々、思い通りにいかないことがあると叫びたくなるような衝動がおそってきて抑える事が難しい

好きな事には夢中になるしそれ以外の事が考えられなくなる
やりたい事があると他の予定があるのにそっちに行ってしまう
待ち合わせに遅れるつもりはなくて、早く到着することもあるけど、
待ち合わせ場所で興味のある事が見つかると時間を忘れて夢中になるから結局待ち合わせに遅れる事がある

近所なのに道に迷う事が多くて運転が苦手

おしゃべりは大好きだけど、知らない人、知らない場所に行くのは勇気がいる
だって人がたくさんいると音で溢れていて逃げ出したくなるから

それが普通だと思っていた

みんなそうなのだと思っていた

だけどみんなが上手く他人と過ごしていけるのは、
みんなが器用なのではなく、私が特別不器用だからいけないんだと思っていた

私が悪いんだと思って生きてきた

まさか自分が発達障害だなんて思いもせずに43年間生きてきた

疑ったこともない

そんな風に43年間生きてきて、
人生43年目のある日、
ふとしたきっかけでこれまで抱えてきた理解できない自分の行動について他人に話したら
「それはきっと・・・あなたが発達障害だからじゃないか」
と、これまで一回も想像したことの内言葉を投げられたのである

(私が・・発達障害・・・?)

嬉しいのかショックなのか、よくわからない
だけどすべてに納得がいったから腹はたっていない

頭の中のモヤが一気にとれたような気持に嬉しくてだけどショックで
どう処理していいかわからな気持ちにハルミは薄く微笑み、泣いた

やっと私の頭の中の出来事に名前がついた

「私、悪くなかったんだ。頑張ってこれたんだ。」

ハルミが自分を許すことができた瞬間でもあった

 

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